新型コロナウイルスに関連するご相談が急増しております。今月は、ご相談が多い事項について、緊急特集をいたしました。政府や自治体からの情報が小出しにしか出てこない中で、刻々と状況も変わっていきますが、現時点での情報を緊急的にざっくりとまとめさせていただきます。
 なお、情報の確認は慎重に行っておりますが、見落としや錯誤等もあるかもしれません。また、情報の変更や後から出る情報によって見解が変わる可能性もありますので、その点ご容赦下さい。
 また、休業手当の金額、休ませる場合の休職制度等については、自社の就業規則、賃金規程の定めにもよりますので、自社の規則がどのように定めているか、確認が必要です。


感染者、濃厚接触者、発熱者・感染疑い者が出た場合の休業手当
従業員に①感染者、②濃厚接触者又は③発熱者・感染疑い者が出た場合、休業手当を支給しなければなりませんか?

A①:感染者が出た場合

 この点につき、厚生労働省は「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」問2で次のように述べています。感染者については、原則として休業手当は不要で傷病手当金での対応で良いと考えます。ただし、自社の就業規則に有給の私傷病休職制度を定めている場合は、同制度を適用し、給料を支払う必要があります。

<感染した方を休業させる場合>

問2 労働者が新型コロナウイルスに感染したため休業させる場合、休業手当はどのようにすべきですか。

 新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。
なお、被用者保険に加入されている方であれば、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。
具体的には、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2について、傷病手当金により補償されます。
具体的な申請手続き等の詳細については、加入する保険者に確認ください。

A②:濃厚接触者が出た場合

 職場で感染者が出て濃厚接触者が生じた場合や従業員の家族が感染し濃厚接触者となった場合、次のように整理されます。いずれも就業規則等に特別の規定があれば、その定めに従います。休業手当支給義務が無い場合でも生活保障のために、手当を支給することも考えられます。

<休業手当について>
  1. 保健所等から自宅待機の要請や指示が出た場合
    不可抗力と言えるため、休業手当の支払い義務はないと言えます。
  2. 濃厚接触者で発熱等がある場合
    不可抗力とされる可能性があり、その場合休業手当の支払い義務はないと言えます。
  3. 他の従業員の感染予防のために会社の自主的判断で休業させる場合
    不可抗力とは言えないため、休業手当の支払い義務が発生します。
<健康保険の傷病手当金について>

 ➊と❸の場合、本人に症状がないため、労務不能と言えず、傷病手当金は支給されません。症状がないのであれば、在宅勤務をさせてもよいでしょう。❷については、次のように支給対象となりえます。

Q3:被保険者が発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っており、療養のため 労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。

A 傷病手当金の支給対象となりうる。
「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給について」(厚生労働省保険局保険課事務連絡(以下「傷病手当金の事務連絡」という)令和2年3月6日)

A③:発熱者・感染疑い者が出た場合

 この点につき、厚生労働省は「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」問3、問4で次のように述べています。

<感染が疑われる方を休業させる場合>

問3 新型コロナウイルスへの感染が疑われる方について、休業手当の支払いは必要ですか。

感染が疑われる方への対応は「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)問28「熱や咳があります。どうしたらよいでしょうか?」をご覧ください。
これに基づき、「帰国者・接触者相談センター」でのご相談の結果を踏まえても、職務の継続が可能である方について、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。

<発熱などがある方の自主休業>

問4 労働者が発熱などの症状があるため自主的に休んでいます。休業手当の支払いは必要ですか。

会社を休んでいただくよう呼びかけをさせていただいているところですが、新型コロナウイルスかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休まれる場合は、通常の病欠と同様に取り扱っていただき、病気休暇制度を活用することなどが考えられます。
一方、例えば発熱などの症状があることのみをもって一律に労働者に休んでいただく措置をとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。

昨今の感染拡大、緊急事態宣言下であることを考慮すると、会社が発熱等の症状がある従業員を出社させるべきではないと考えます。厚生労働省の見解では、会社が休ませた場合は休業手当の支給義務あり、本人が自主的に休むといった場合は休業手当の支給義務なしという整理をしています。
実務的には、休業手当は給料に比べて大幅に金額が下がる(Q5参照)ので、年次有給休暇で休んでもらうよう勧め、年休取得で本人と合意するようにしてもよいでしょう。働ける状態ならば在宅勤務に切り替える方法もあります。

<労務提供できないほどの症状がある場合>

私見ではございますが、労務提供ができないほどの症状であれば「使用者の責に帰すべき休業」とは言えませんので、休業手当の支給義務はないとも考えられます。実務的には、本人が休務を申し入れ、年次有給休暇を取得することになると思われます。
また、上記の「傷病手当金の事務連絡」によれば、療養のため 労務に服することができない場合、傷病手当金の支給対象になりうるとしていますので、3日間は年次有給休暇を取得し、その後も労務不能状態である場合は傷病手当金で対応する方法も考えられます。

緊急事態宣言と自治体の緊急事態措置
緊急事態宣言と自治体の緊急事態措置の概要を教えて下さい。

4月7日に改正新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」という)第32条第1項の規定に基づき緊急事態宣言がなされ、16日には対象地域を全国に拡大しました。期間は5月6日までの1か月間です。
政府は「人と人との接触機会を最低7割、極力8割、削減することができれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができます。…国民の皆様には、7割から8割の削減を目指し、外出自粛をお願いします。」としています。
 これを受けて各自治体が緊急事態措置等を発表しています。一例として東京都の緊急事態措置の内容をあげておきます。東京都は、①特措法による休業要請する施設、②特措法によらない協力依頼を行う施設、③施設の種別によっては休業を要請する施設、④社会生活を維持する上で必要な施設に分けています。以下は概要ですが、対象施設の詳細については、https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/1007617/1007679.htmlをご確認下さい。



(東京都「新型コロナウイルス感染拡大防止のための東京都における緊急事態措置等」令和2年4月10日)

緊急事態宣言による休業の場合の休業手当
緊急事態宣言を受けて、従業員を休業させた場合、休業手当は支払わなければならないのでしょうか?

この点につき、厚生労働省は「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」問7で次のように述べています。

問7 新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言や要請・指示を受けて事業を休止する場合、労働基準法の休業手当の取扱はどうなるでしょうか。

労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。不可抗力による休業の場合は、使用者に休業手当の支払義務はありませんが、不可抗力による休業と言えるためには、

  1. その原因が事業の外部より発生した事故であること…「外部起因性」(筆者加筆)
  2. 事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができない事故であること…「防止不可避性」(筆者加筆)

①に該当するものとしては、例えば、今回の新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言や要請などのように、事業の外部において発生した、事業運営を困難にする要因が挙げられます。
②に該当するには、使用者として休業を回避するための具体的努力を最大限尽くしていると言える必要があります。
具体的な努力を尽くしたと言えるか否かは、例えば、

  • 自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分に検討しているか
  • 労働者に他に就かせることができる業務があるにもかかわらず休業させていないか

といった事情から判断されます。

したがって、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言や、要請や指示を受けて事業を休止し、労働者を休業させる場合であっても、一律に労働基準法に基づく休業手当の支払義務がなくなるものではありません。

(注)下線は筆者

 休業手当は「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合に、平均賃金の6割を支払わなければならないというものです(労基法第26条)。同法は、労働者の最低生活の保障するために、民法により保障された賃金請求権のうち平均賃金の6割にあたる部分の支払を罰則によって確保し、使用者の帰責事由も拡大した規定です。
 不可抗力の休業の場合は、休業手当の支払い義務はないのですが、不可抗力と言えるためには、①外部起因性、②防止不可避性のいずれも満たす必要があります。今回の緊急事態宣言や要請は、①外部起因性を満たす可能性があります。しかし、②防止不可避性については、テレワークや他にやってもらう業務がないか等を十分に検討してからでないと満たしません。例えば、業務の性質上、テレワークが可能であるにもかかわらず「セキュリティの問題」や「上司が認めない」といった理由で休業にした場合、不可抗力とは言えない可能性があります。
一方、接客や現場仕事といった、業務の性質上テレワークが不可能な業種は②防止不可避性の要件に該当する可能性があります。ただし、従業員の生活保障を考えれば全く無給という訳にはいかず(Q4参照)、在宅でできることを探すか、雇用調整助成金の要件に該当する企業であれば休業手当を支払って助成金を受給すべきと考えます。
 不可抗力かどうかの見解は、使用者側弁護士と労働者側弁護士の間でも見解が分かれており、最終的には裁判になってみないとはっきりはしません。
なお、金融機関などの事業継続が求められる業種の場合は、可能な部門はテレワークを検討します。もし、営業時間の短縮を行う場合、短縮休業になりますが、これは使用者の自主的判断で行うものですので、休業手当の支払いが求められます。

休業手当の支払い義務が無い場合、どうすればよいのか
休業手当の支払い義務が無い場合、休業手当を支払わなくてよいのでしょうか?

休業手当の支払いが無い場合、従業員の収入は途絶えてしまい、賃金が支払われない状態で労働契約が継続することになります。政府は1人当たり10万円の給付をおこなう方向を示していますが、休業が長期化すればこれでは足りません。最後の手段として、従業員が退職を申し出て失業手当を受給することは可能ですが、これも受給までに時間を要します。このように考えると、休業手当の支払い義務が無くとも、会社は従業員を守る必要があると考えます。
また、休業の終了後、従業員の活躍なくしては業績の回復はありません。従業員の確保と今後の良好な関係性を考慮すると、手当を支払っておくべきと考えます。後述するように、休業手当は平均賃金の6割であり、満額の給料に比べるとそれほど高い金額でありません。できれば、休業手当に相当する額を払うのがベターですが、会社の財務上難しい場合は、可能な金額での支払いを検討してください。

休業手当、平均賃金の計算方法
休業手当は平均賃金の6割とのことですが、どのように計算するのでしょうか?

平均賃金の原則的な計算方法は次の通りです。基本的には、算定事由発生日の直前の賃金締切日から遡った3カ月間が算定期間となります。月給制の従業員はこの式で計算します。

【平均賃金の原則的な計算方法】
平均賃金= 直近の賃金締切日より起算した前3ヵ月間の賃金総額
3ヵ月間の総暦日数

 一方、日給制や時間給制の場合、勤務日が少ない従業員は、原則的な計算方法では平均賃金の額が異常に低くなってしまいます。そこで、次の計算も行い、高い方の金額を採用します。

【平均賃金の日給制、時間給制、出来高払制の場合の最低保証の計算方法】
平均賃金= 直近の賃金締切日より起算した前3ヵ月間の賃金総額 × 60
3ヵ月間の実際に労働した日数 100

例1)月給30万円の正社員 末締め翌月10日払い 4月13日から休業
   1月、2月、3月分の賃金総額90万円
   平均賃金 900,000÷91=9,891円
   休業手当 9,891×60%=5,935円…1日当たりの休業手当の金額

※計算の簡便上、円未満を切り上げて従業員有利に計算しています(以下同様)。

例2)日給10,000円のパート 月9日勤務 末締め翌月10日払い 4月13日から休業
   1月、2月、3月分の賃金総額27万円
   原則の計算   270,000÷91=2,968円
   最低保証の計算 270,000÷27×60%=6,000円>2,968円
   休業手当    6,000×60%=3,600円…1日当たりの休業手当の金額

【ポイント】
  • 原則的な計算式では総賃金額を暦日数で割っていますので、金額が低くなります。また、最低保証の計算式は総賃金額を実労働日数で割った数字を6掛けした数字が平均賃金となり、休業手当はさらにこれに6掛けするため、こちらも金額は低く、思ったより休業手当の支給額は低く感じられます。これは、労働者の最低生活を罰則で保障するという意味合いで設定されているからだと思われます。
  • 就業規則に休業手当についての規定がない場合は、労基法の定める休業手当(平賃の60%)ではなく、民法のルールが適用される可能性があります。この場合、賃金の全額(賃金の100%)を支払わなければなりません。
  • 算定期間中に支払われる、賃金のすべてが含まれます。
    通勤手当、精皆勤手当、年次有給休暇の賃金、通勤定期券代及び昼食料補助等も含まれ、また現実に支払われた賃金だけでなく、賃金の支払いが遅れているような場合は、未払い賃金も含めて計算されます。
    6か月通勤定期なども1か月ごとに支払われたものと見なして算定します。
    なお、次の賃金については賃金総額から控除します。

    1. 臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、加療見舞金、退職金等)
    2. 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(四半期ごとに支払われる賞与など、賞与であっても3か月ごとに支払われる場合は算入されます)
    3. 労働協約で定められていない現物給与
  • 平均賃金算定期間中に「使用者の責に帰すべき事由により休業した期間」がある場合、その期間及びその期間中の賃金は、算定基礎となる期間及び賃金の総額からそれぞれ控除します。暦日数なども変わりますので、翌月の休業手当の計算にあたり、平均賃金・休業手当額は再計算する必要があります。

短縮休業の場合の休業手当
短縮休業の場合、休業手当はどのように支払うのでしょうか?

1日の一部だけを休業させる場合も、その日の休業手当は平均賃金の100分の60に相当する額を支払わなければなりません。そのため、現実の就労で支払われる賃金が平均賃金の100分の60に満たない場合は、その差額を支払わなければなりません(昭27.8.7基収3445号)。その算定方法は以下のようになります。

休業手当の額 = 休業手当(平均賃金の6割) - 一部労働した時間分の賃金

一部労働による賃金 休業手当の額
全日休業の場合の休業手当

例えば、ある社員の平均賃金が8,000円の場合、平均賃金8,000円の60%である4,800円が休業手当になります。一部労働した時間分の賃金が6,000円だった場合は、休業手当額を上回っているため、休業手当は不要となります。もし仮に労働時間が短く、一部労働した時間分の賃金が3,000円であった場合は、4,800円と3,000円との差額の1,800円を支給することになります。

在宅勤務の方法
在宅勤務にはどのような方法がありますか?

事務仕事の場合、セキュリティ対策を講じた上で、例えばマジックコネクト等のリモートアクセスのシステムを導入すれば、会社にいるのと同じ環境でパソコンを使用することができます。緊急すぎて、パソコンや携帯電話を会社が準備することができない場合は、従業員の私物のパソコンなどを使用することに同意してもらい、業務にかかった費用は会社が負担するということでも良いと考えます。もちろん、この場合もセキュリティ対策は講じておく必要があります。
一方、接客業などは、在宅勤務が難しい職種ですが、SNSで情報発信してもらうことなどが考えられます。

保育園の登園自粛要請による育児休業の延期
保育園の登園自粛要請を受けて、育児休業を延期したいという従業員がいます。どのように対応すれば宜しいでしょうか?

この点につき、厚生労働省は「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」問16で次のように述べています。会社の定める育児休業規程も確認しながら、これらに沿った対応が必要です。

<保育所への登園自粛を要請された場合の育児休業の延長>

問16 保育所に子どもを入所させる予定だった労働者が、市区町村等から当該保育所への登園自粛の要請を受けたため、当面子どもを保育所に預けないこととなりました。こうした場合、育児休業の延長を認めなければならないでしょうか。

<子どもが1歳までの場合>

現在育児休業中の労働者から申出があった場合、事由を問わず育児休業の終了予定日の繰下げ変更(最長1歳まで(※1))を認める必要があります(※2、3)。なお、繰下げ変更後の休業期間についても育児休業給付金は支払われます。
また、育児休業から一度復帰している方から再度の休業の申出があった場合も、休業(最長1歳まで(※1))を認める必要があります。なお、再度の休業期間についても育児休業給付金は支払われます。
(※1)両親がともに育児休業をする場合、一定の要件を満たせば最長1歳2か月まで(パパ・ママ育休プラス)
(※2)1歳から1歳6か月までの休業、1歳6か月から2歳までの休業それぞれについても同様に繰り下げ変更を認める必要。
(※3)繰下げ変更の申出は1か月前となっているが、申出が直前になった場合でも、繰下げ変更を認めることは可能。

<子どもが1歳又は1歳6か月になるときの場合>

子どもが1歳又は1歳6か月になるときに、引き続き育児休業をしたい旨労働者から申出があった場合、育児休業(1歳からの休業は最長1歳6か月まで又は1歳6か月からの休業は最長2歳まで)を認める必要があります。なお、引き続き休業した期間についても育児休業給付金は支払われます。

このほか、労使の話し合いにより、例えば子どもが2歳以上の場合などについても独自に休業を認めることは差し支えありません。なお、こうした法を上回る対応により認められた休業期間については、育児休業給付金は支払われないためご留意ください。
労働者の雇用が継続されるよう、柔軟なご対応をお願い致します。
(以下略 厚生労働省HPで確認下さい。)

自主的に保育園の登園を自粛した育児休業の延期
保育園の登園自粛要請はありませんが、感染防止のため自主的に育児休業を延期したいという従業員がいます。どのように対応すれば宜しいでしょうか?

この点につき、厚生労働省は「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」問17で次のように述べており、参考になります。会社の定める育児休業規程も確認しながら、対応します。

<自主的に保育所への登園を自粛した場合の育児休業の延長>
問17 保育所に子どもを入所させる予定だった労働者が、市区町村等からの登園自粛の要請は受けていないものの、感染防止のために自主的に子どもを保育所に預けないこととしました。
こうした場合、育児休業の延長を認めなければならないでしょうか。

<子どもが1歳までの場合>

現在育児休業中の労働者から申出があった場合、事由を問わず育児休業の終了予定日の繰下げ変更(最長1歳まで(※1))を認める必要があります(※2、3)。なお、繰下げ変更後の休業期間についても育児休業給付金は支払われます。
また、育児休業から一度復帰している方から再度の休業の申出があった場合には、再度の休業を認める必要はありませんが、各企業において独自に再度の休業を認めることは差し支えありません。なお、こうした法を上回る対応により認められた休業期間については、育児休業給付金は支払われないためご留意ください。
(※1)両親がともに育児休業をする場合、一定の要件を満たせば最長1歳2か月まで(パパ・ママ育休プラス)
(※2)1歳から1歳6か月までの休業、1歳6か月から2歳までの休業それぞれについても同様に繰り下げ変更を認める必要。
(※3)繰下げ変更の申出は1か月前となっているが、申出が直前になった場合でも、繰下げ変更を認めることは可能。

<子どもが1歳又は1歳6か月になるときの場合>

子どもが1歳又は1歳6か月になるときに、引き続き育児休業をしたい旨労働者から申出があった場合、申出を認める必要はありませんが、各企業において独自に休業を認めることは差し支えありません。なお、こうした法を上回る対応により認められた休業期間については、育児休業給付金は支払われないためご留意ください。

このほか、労使の話し合いにより、例えば子どもが2歳以上の場合などについても独自に休業を認めることは差し支えありません。なお、こうした法を上回る対応により認められた休業期間については、育児休業給付金は支払われないためご留意ください。
労働者の雇用が継続されるよう、柔軟なご対応をお願い致します。
(以下略 厚生労働省HPで確認下さい。)

小学校休業等対応助成金
小学校の休校に伴って従業員が会社を休んだ際、特別休暇を取得したのですがその場合、会社に支払われる助成金はあるのでしょうか?

年次有給休暇とは別に「特別休暇(賃金の100%支給)」を支給した場合、「小学校休業等対応助成金」の対象になります。年次有給休暇では助成金は支払われないので注意が必要です。
小学校等が休校になった児童を持つ従業員に対して、年次有給休暇とは別に特別休暇(賃金の100%支給)を会社が与えた場合、休暇中に支払った賃金額(ただし1日上限8,330円)を支給するものとして、「新型コロナウィルス感染症による小学校休業等対応助成金」という制度が創設されています。
助成金の対象期間が6月30日まで延長されたことに伴い、申請期限も9月30日までに延長されました。申請は2月分からまとめて一括で可能です。まだ今後休校期間が伸びる可能性もありますので、申請はもう少し落ち着いてからまとめて行うことで良いと思います。

(ポイント)
  • 年次有給休暇を取得した場合は対象外
  • 対象期間は2月27日から3月31日まで⇒4月1日から6月30日まで延長
  • 就業規則の変更は不要
  • 年次有給休暇を取得した後で特別休暇に切り替える場合、本人の同意が必要
  • 小学校だけでなく、幼稚園・保育園・放課後児童クラブなども可です。
  • 賃金日額×有給(最大8330円)が助成されます。
  • 学校の元々の休日は対象外です。また、学校は休校措置でない中、自主的に親が休んだ場合も対象外となります。
  • 子供がコロナにかかった、また濃厚接触者になった等で親が休んだ場合は公休日など関係なくその期間全てが対象となります。
<小学校休業等対応助成金HP>

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html

<問い合わせ窓口>

小学校等休業助成金・支援金等相談センター
TEL 0120-60-3999
受付9:00~21:00(土日・祝日含む)

(厚生労働省HP 新型コロナ休暇支援)

雇用調整助成金
緊急事態宣言を受けて従業員を休業させることにしましが、助成金は出ますか?

一定の要件に該当する場合、雇用調整助成金の支給対象になります。
雇用調整助成金は、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する制度です。
本来は事前に計画書を提出し、その内容が行政に認められることが最初の要件ですが、今回は新型コロナウイルスに対応するため、4月1日から6月30日まで計画届の事後提出を認めるなどの特例措置が実施されます。先日、特例を踏まえた様式などがホームページにアップされています。要件なども厳しいので、よく確認しながら休業の計画をたてていくことが必要です。

<2020年4月1日から6月30日までの緊急対応機関>
  1. 対象となる事業主
    新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主(全業種)
  2. 生産指標要件の緩和
    1か月5%以上低下
  3. 対象者の拡大
    雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成金の対象に含める
  4. 助成率の引き上げ
    4/5(中小)、2/3(大企業)
    ※解雇等を行わない場合は9/10(中小)、3/4(大企業)
  5. 計画届
    計画届の事後提出を認める(1月24日~6月30日まで)
  6. 支給限度日数
    1年100日、3年150日+上記対象期間
  7. その他 短時間一斉休業の要件緩和、手続きの簡素化等
    お問い合わせ
    <雇用調整助成金 相談窓口 東京労働局>
    雇用調整助成金03-5337-7418
    新宿区百人町4-4-1新宿労働総合庁舎1階

(厚生労働省「雇用調整助成金」HP)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

業務継続緊急対策(テレワーク)助成金
東京都ではテレワーク導入に際して購入したPC代金が補助される制度があると聞きましたが、どのような制度ですか?

業継続緊急対策(テレワーク)助成金があります
助成対象事業者の主な要件は、①常時雇用する労働者が2名以上かつ999名以下で、東京都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等 ②都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」(外部サイトへリンク)に参加していることなっています。

<助成事業の実施期間>

・支給決定日以後、令和2年6月30日までに完了する取組が対象です。
*決定前の購入は対象になりません

<申請受付期間>

・令和2年3月6日から令和2年5月12日まで(締切日必着)
*予算の範囲を超える申請があった場合等、申請受付期間内でも受付を終了することがあります。

<受付方法>

・郵送による提出のみ(記録が残る簡易書留等の方法により送付してください)
申請書類提出先(郵送のみ) 
公益財団法人東京しごと財団 雇用環境整備課 職場環境整備担当係
〒101-0065 東京都千代田区西神田3-2-1
住友不動産千代田ファーストビル南館5階

電話番号:03-5211-2397
電話受付時間:平日9時~17時
平日12時~13時、土日・祝日、年末年始を除きます。

申し込みの書式や手順は下記サイトまたは上記お電話番号でお問い合わせください。
https://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/boshu/kinkyutaisaku.html

経済産業省による支援と「持続化給付金」
最大200万円支給される「持続化給付金」とはどのような給付金ですか?

経済産業のホームページ「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」にて、資金繰りや支援内容の確認ができます。
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf
そのうち、「持続化給付金」は、感染症拡大により、特に大きな影響を受けている事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧となる、事業全般に広く使える、給付金を支給するものです。新型コロナウイルスの影響により売上が前年同月比で50%以上減少していることが前提です。金額は、法人は200万円、個人事業者は100万円ですが、昨年1年間の売上からの減少分を上限とするとされています。
なお、令和2年度補正予算案の成立を前提としているため、制度の具体的な内容や条件については現在検討中です。詳細が決まり次第公表するとのことです。

感染拡大防止協力金
東京都が発表している「感染拡大防止協力金」とはどのようなものですか?

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、都の要請や協力依頼に応じて、施設の使用停止に全面的に協力する中小の事業者に対し、協力金を支給します。支給額は、50万円(2店舗以上有する事業者は100万円)です。これは、「東京都における緊急事態措置等」により、休止や営業時間短縮の要請を受けた施設を運営する中小企業(個人事業主を含む)が、休業の要請等に全面的な協力を行った場合に受け取れます。

対象要件

〇「東京都における緊急事態措置等」により、休止や営業時間短縮の要請等を受けた施設を運営する中小企業及び個人事業主が対象となります。

休止要請等の対象となる施設については、東京都総務局HPに掲載しています。(https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/1007617/1007679.html)
今回の協力金は、都の要請等の対象となる施設について、その運営を行う事業者を対象としています。
緊急事態措置以前に、開業しており、営業の実態がある事業者が対象となります。
都内の事業所の休業等を行った場合が対象となります。この場合、都外に本社がある事業者も対象になります。
100㎡以下の施設でも、休業を行った場合には支給対象となります。

〇緊急事態措置期間中(令和2年4月11日から5月6日まで)に休業等の要請等に全面的にご協力いただいた中小企業及び個人事業主が対象となります。 

飲食店等の食事提供施設における営業時間短縮とは、夜20時から翌朝5時までの夜間時間帯の営業自粛に向け、営業時間を短縮することをいいます。(終日休業を含む。)
全面的な協力とは、緊急事態措置の全期間、要請等に応じて休業等を行っていただくことが基本ですが、少なくとも令和2年4月16日から5月6日までの期間において休業(飲食店等の食事提供施設の場合は営業時間の短縮)にご協力をいただくことをいいます。

今後の流れ
  • コールセンターの拡充 4/15(水)
     制度概要公表と同時に、増加が想定される申請手続などの詳細な問い合わせに対応するための体制を拡充します。
    「東京都緊急事態措置等・感染拡大防止協力金相談センター」
     開設時間 9時~19時(土日祝日を含む毎日)
     電話番号 03-5388-0567
  • 募集要項公表、受付開始 4/22(水)
     募集要項公表と同時に、WEB申請サイトを立ち上げ、申請受付を開始します。
  • 協力金の支給 5月上旬~
申請手続
  • 申請受付期間
     令和2年4月22日(水)~6月15日(月)(予定)
  • 申請方法
    1. 専用ホームページからWEBを通じて申請できます。
    2. 郵送又は持参も可能です。
  • 申請に必要な書類(予定)
    1. 協力金申請書(法人にあたっては「法人番号」を記入)
    2. 営業実態が確認できる書類
      (例)確定申告書の写しのほか、直近の帳簿、業種に係る営業許可証の写し など
    3. 休業の状況が確認できる書類
      (例)事業収入額を示した帳簿の写し、休業期間を告知するホームページ・店頭ポスターの写し など
    4. 誓約書
      ご協力いただいた事業者の紹介
      要請・依頼への協力事業者として、施設名(屋号)を都のホームページでご紹介させていただきます。

※この協力金は、令和2年4月補正予算が東京都議会で可決された場合に実施するものとします。

(東京都産業労働局HP「感染拡大防止協力金」について)
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/attention/2020/0415_13288.html

なお、他の自治体でも独自の給付を予定している所がありますので、各自治体のHP等でご確認下さい。