「働き方改革法」が成立
- 働き方改革法が成立しましたが、会社ではどのような対応が必要でしょうか?
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働き方改革法には、①罰則付きの残業規制、②同一労働同一賃金、③高度プロフェッショナル制度の3本柱があります。③が導入できるのは一部の企業に限られますが、①と②は多くの企業が対象です。①は36協定、②は非正規労働者の処遇について、改正法に照らし問題ないか、見直す必要があります。
長澤運輸事件
ハマキョウレックス事件の最高裁判決
- 当社には、正社員のほかに、契約社員や定年後再雇用者などの有期労契約労働者がいます。住宅手当や皆勤手当は、正社員のみに支給しているのですが、有期契約労働者には支給しなくても問題ないでしょうか?
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特段の理由もなく、有期労働契約だからというだけで有期労働契約者に一律支給しないとすることは問題になる可能性があります。例えば、正社員は転居を伴う配置転換の可能性があるため住宅手当を支払うが、有期労働契約者は転居を伴う配置転換を予定していないため支払わないといった合理的な説明できれば、差異があっても構わないと考えます。皆勤手当については、業務内容が同一の場合は、同一の支給を求められる可能性があります。
残業させるには36協定が必要
- IT業である当社では、この度、従業員を雇い入れることになりました。従業員に残業させるには、協定が必要と聞いたことがあるのですが、どのようにすれば良いのでしょうか?
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法定労働時間は1週40時間、1日8時間と定められています。これを超えて、残業や休日労働をさせるには36協定を締結し、労働基準監督署へ届出なければなりません。労働組合の無い会社では、話合いや挙手などの方法で従業員の過半数の支持を得た代表者を選出し、この代表者と会社が締結します。
割増賃金
- 残業をさせた場合に、割増賃金を支払わなければならないと聞きました。当社の所定労働時間は、7時間です(午前9時~午後5時、休憩1時間除く)。割増賃金は、どのように払えばよいのでしょうか?
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残業には、法定内残業と法定外残業(法定時間外労働)があり、法定内残業には、原則として労基法の割増賃金請求権はありません。従って、貴社の場合は、8時間を超えたら25%の割増賃金を支払う必要があります。7時間~8時間までは通常の賃金を支払うことが可能ですが、会社と従業員間の取り決めによります。例えば就業規則で所定労働時間を超えたら25%の割増賃金を支払うと定めた場合は、この部分についても25%の割増が必要です。
また、時間外労働が60時間を超える場合の割増率は、50%以上に引き上げられていますが、今の所、中小企業は適用が猶予されています。
固定残業代
- 飲食業の会社を経営しており、毎月従業員が残業しています。固定残業代を導入したいと思っているのですが、どのような点に気を付ける必要がありますか?
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固定残業代を導入する場合は、就業規則、労働条件通知書、給与明細などに①その金額、②固定残業代に含まれる時間数、③残業代としての性格、④実働が含まれる時間数を超えた場合に差額支給する旨を明示することなどが必要です。実際に、実働時間が含まれる時間数を超えた場合には差額支給が必要です。
従前の賃金総額を変えずに固定残業代を導入する場合は、不利益変更の問題もでてきます。固定残業代の導入については、専門家に相談した方が良いでしょう。
就業規則の作成・変更の手続と本社一括届出
- 当社は金融機関です。就業規則の変更を検討していますが、どのような手続が必要でしょうか?また、支店がある場合、就業規則は本社でまとめて届け出ることができますか?
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10人以上の労働者を使用する場合は、過半数代表者の意見聴取を行い、意見書を添付して、所轄の労働基準監督署に届け出なければなりません。本社と支店の就業規則が、同じ内容である場合には、本社で一括して届け出ることができます。
なお、就業規則を不利益に変更する場合は、労働者の合意を得るなどの対応が必要になることがありますので、専門家に相談した方が良いでしょう。
働き方改革関連法案
- 最近、「働き方改革」という言葉をよく聞きますが、どのようなことが改正されるのでしょうか?
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「働き方改革関連法案」には、大きく分けて2つの分野があります。
一つ目は、長時間労働対策の「残業時間の上限規制」と、時間ではなく成果で評価する「脱時間給制度」です。
二つ目は、正社員と非正規社員の待遇差を無くそうとする「同一労働・同一賃金」です。