マイナンバーが導入されて2年が経ち、今年3月からは健康保険・厚生年金保険の住所変更届が原則届出不要となり、雇用保険でも5月より一部の手続きにおいてマイナンバー未記載の場合は届出が受理されなくなるなど、本格的に運用されるようになってきました。
 またそれに伴い多くの届出様式が変更されていますので、ここでは雇用保険・社会保険の手続きをおさらいし、今後の業務にお役立ていただければと存じます。
 なお、「協会けんぽ」ではなく、その他の健康保険組合等にご加入の事業所様につきましては、手続書類名称や添付書類等、個別にご確認いただきますようお願いいたします。

【1】住所変更届について

 年金事務所から事業所様へ、基礎年金番号とマイナンバーについての照会が昨年より行われていると思います。そこでマイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者であれば、市区町村で住所変更を行った際に自動的に年金事務所に情報が届く仕組みとなった為、「住所変更届」の手続きは不要となりました。
 ただし、下記の場合は今まで通り「住所変更届」の手続きが必要です。

  1. マイナンバーを有していない海外居住者、短期在留外国人の住所変更をする場合
  2. 住民票以外の居所を登録する場合
    • 資格取得時の登録住所が住民票と異なる居所の場合は、「被保険者資格取得届」の住所欄の理由記載欄に、その旨を記載する。
    • 住所変更後の住所が住民票と異なる居所の場合は、「住所変更届」の備考欄の
      □住民票住所以外の居所
      にチェックをいれる

(2)扶養異動届の添付書類について

1.続柄の確認

平成30年10月1日より被保険者、被扶養者のマイナンバーの記載がない場合は、下記のいずれかの書類が必要となります。(提出日から90日以内に発行されたもの)

  • 「戸籍謄本」または「戸籍抄本」
  • 「住民票」(被扶養者と被保険者が同居かつ被保険者が世帯主の場合に限る)

2.収入の確認

  1. 「所得税法の規定による控除対象配偶者または扶養親族となっている者」を被扶養者とする場合は、事業主の証明があれば添付書類は不要です。

    重要
    しかし、平成30年1月より改正所得税法が施行され、被保険者の合計所得が1,000万円(給与所得のみの場合は、給与等の収入金額が1,220万円)を超える場合には、これまで控除対象配偶者となっていた人が、控除対象配偶者に該当しなくなったため、事業主の証明による添付書類の省略ができなくなりました。→2に該当

  2. 「所得税法の規定による控除対象配偶者または扶養親族となっている者」以外の者を被扶養者とする場合の添付書類

    (ア)退職したことにより収入要件を満たす場合
    「退職証明書または雇用保険被保険者離職票の写し」

    (イ)雇用保険失業給付の受給終了により収入要件を満たす場合
    「雇用保険受給資格者証の写し」

    (ウ)自営(農業等含む)による収入、不動産収入等がある場合
    直近の「確定申告書の写し」
    ※自営業者についての収入額は、当該事業遂行のための必要経費を控除した額となります。

    (エ)上記イ~ウ以外に他の収入がある場合
    上記「イ~ウに準じた書類」及び「課税(非課税)証明書」

    (オ)上記ア~エ以外
    「課税(非課税)証明書」

    ※ただし、②については、社会保険労務士が提出代行を行う場合は、添付書類の省略ができます。

  3. 下記の場合は、①の方も②の方も、必ず添付書類が必要となります。
    老齢年金、障害年金、遺族年金、傷病手当金、出産手当金、失業給付等の非課税対象となる収入がある場合
    「受取金額のわかる通知書等の写し」(ex.年金額の改定通知書、雇用保険受給資格者証等)
  4. 収入要件について(130万円未満、60歳以上又は障害者の場合180万円未満)

     

    年間収入とは、過去における収入のことではなく、被扶養者に該当する時点及び認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます。(給与所得等の収入がある場合、月額108,333円以下。失業給付の受給者の場合、失業給付基本手当日額3,611円以下であること。)
    また、被扶養者の収入には、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれますので、ご注意願います。
    失業給付の待機期間中でも、収入要件を満たしている場合は被扶養者として認定することが可能です。ただし、失業給付基本手当日額(3,611円を超える額)の支給が始まった場合は、扶養削除の届出が必要となります。

(3)マイナンバーの記載が必須の雇用保険の手続きについて

    ◆マイナンバーの記載が必要な届出等

  1. 雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)
  2. 雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)
  3. 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書(様式第33号の3)
  4. 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書(様式第33号の5)
  5. 介護休業給付金支給申請書(様式第33号の6)
  6. ◆個人番号登録・変更届の添付が必要な届出等
    (前回の申請を平成30年5月より前に行っており、ハローワークにマイナンバーが未届の者に係る届出等である場合)

  7. 雇用継続交流採用終了届(様式第9号の2)
  8. 雇用保険被保険者転勤届(様式第10号)
  9. 高年齢雇用継続給付支給申請書(様式第33号の3の2)
  10. 育児休業給付金支給申請書(様式第33号の5の2)

※個人番号記載欄がある届出等については、都度、マイナンバーを記載いただくこととなっておりますが、当該届出等に係る被保険者について、既にその他の届出等の際にマイナンバーを届け出ている場合には、各届出等の欄外等に「マイナンバー届出済」と記載いただくことで、マイナンバーの記載の省略が可能です(雇用保険被保険者資格取得届を除く)。
なお、「マイナンバ-届出済」の記載がなされている場合であっても、実際には届出がなされていない場合は返戻されます。